EF66に取付けのPS22Bについて
本原稿は鉄道ファン1990.11号に掲載されている。
その後、改訂。
作成者:デンチュウ
はじめに
EF66は東海道本線の沿線に住んでいる筆者にとって、見なれた機関車であるが、
EF66に取付けられているPS22Bに関する鉄道趣味誌の記事が、舌足らずだったり、不正確だったり、間違いだったりすることがある。そこで、より正確なPS22B取り付け状況を知るために、筆者が記録した走行中や停車中の写真又は目視、及び撮影年月日が示されている鉄道趣味誌の写真により調査した結果について写真と図表で報告する。
調査対象・期間
調査の対象は当初はPS17を取付けていた901、1〜55号とし、期間は1977年1月から1990年6月とした。
結果の報告
EF66のパンタグラフは最近新製の101〜116号を除き、新製時にはPS17が取付けられていた。しかし、1979年11月に31号機にPS22Bが取付けられてから、現在(1990年6月)までに901、9、31、34、39、42、43、44、49、53、54の延べ11両に取付けられていることを筆者の調査により確認した。
EF66へのPS22Bの取付け車両数は1987年頃の8両をピークに現在(199
0年6月)は5両になっている。
1983年6月は:901、9、31、53、54 の計5両
1985年7月は:901、9、31、34、44、53、54 の計7両
1986年1月は:901、9、31、34、39、49、53、54の計8両
1987年7月は:901、9、31、34、39、42、49、54の計8両
1990年6月は:901、9、31、42、43 の計5両
また、現在までPS22Bを続けて取付けているのは、次の通りである。
1983年1月以前から:901、9、31 の計3両
1987年1月以前から:901、9、31、42 の計4両
1989年3月以前から:901、9、31、42、43の計5両
また、取り付け期間が一番短いのは44号機で1年足らずであった。
『PS17(84.8.1)⇒PS22B(85.8.11)⇒PS17(85.8.18)』 括弧内は撮影年月日。
記録表の作成
表1は実際に撮影した写真とその記録により、PS22Bが装備されたことのある車両の撮影年月日とその時に取付けられていたパンタグラフの型式を線表にしたものである。
(1)同一車両の撮影間隔は短い場合は1週間後、長い場合は、4年後とかであるが、 取付けられているパンタグラフの型式が変わっていなければ、同じ型式がそのまま取付けられていたとした。
(2)パンタグラフの型式が変わっていた場合には、変わる前の年月日までが変わるまでの型式とし、変わった年月日移行を変わった型式とした。すなわち、線が欠けている部分は型式の変わり目でありこのどこかでパンタグラフの型式が変わったことを示している。
(3)パンタグラフの形式が変わって、またもとに戻った場合で、変わった状態の撮影が1回しかない場合は、「点」になり、分かりにくいのでその年月日より2月前から変わったとして、この状態を示すために「?」を入れた。このケースは44号機の場合に存在した『PS17(84.8.1)⇒PS22B(85.8.11)⇒PS17(85.8.18)』である。
(4)表中の数字は 22:写真あり、17:目で確認(写真なし)、
22:雑誌の写真で確認
おわりに
走行中や機関区に留置中の車両のみで、調査したため、早朝や夕方等の効率のよい時間帯で撮影調査を行った。未調査期間が長い場合もあり、他の人の記録で補えればと思う。
添付した写真は次の通りである。
(1)現在PS22Bを装備中の車両
EF66-901 1990.6.11 東戸塚 単下り 次EF65-1070
EF66-9 1990.6.12 東戸塚 単下り 次EF65-1092
EF66-31 1990.6.01 鶴見 5094
EF66-42 1990.5.27 大船 12
EF66-43 1990.6.17 大船 12
(2)過去にPS22Bを装備した車両(PS17に戻る前の最前の撮影)
EF66-34 1987.9.05 戸塚〜大船 5060
EF66-39 1988.4.13 戸塚付近 上り
EF66-44 1985.8.11 菊川〜掛川 2
EF66-49 1987.9.12 戸塚付近 6
EF66-53 1986.3.02 戸塚駅 4
EF66-54 1987.9.13 保土ヶ谷付近 8
参考1 PS22B装備に関する雑誌記事の記載漏れ、間違いの例
(1)鉄道ピクトリアル 1986.7号 著者は杉田肇氏
EF66形電気機関車特集 p19〜20の「改造」の項
PS22B付き:
9、17、20、31、34、39、49、53、54、901としている。
また、20号は庇付きとしている。
(2)RailMagazine 1987.9号
一覧表('87.6末現在)ではPS22B装備:
9、17、20、31、34、39、49、53、54、901としている。
20号はひさし付きとしている。
(3)RailMagazine 1990.3号
現況と展望でPS22B装備:
9、31、34、39、42、43、49、54、901としている。
同時に載っている写真では49号はPS17を装備。
上記記事に対する私見
(1)鉄道ピクトリアル 1986.7号
1986.4(記事の内容は3ヵ月前までとする)までの改造(改造された
状態は必ずしも1986.4まで継続している必要がない)とすると44号
が記載もれである。また、17号、20号がPS22Bを装備したのを見た
ことがない。いつ装備したのか。
17号、20号に関しては1979.11から1983.3の期間は未調査
であり、短期間装備した可能性は否定出来ないが。
(2)RailMagazine 1987.9号
記事は鉄道ピクトリアル(1986.7号)の単純な転載と思う。
'87.6末現在は17号、20号、53号はPS22Bを装備していない。
42号が記載抜け。
すなわち、9、31、34、39、42、49、54、901がPS22B
装備。
(3)RailMagazine 1990.3号
1989.12(記事の内容は3ヵ月前までとする)
49、54号は既に装備していない。31、34号は1990.2の記録では
PS17に戻っている。
(4)鉄道ピクトリアル 1986.7号、RailMagazine 1987.9号
20号は庇付き:この記事は間違いである。
なお、古いのは仕舞ってあるので、手許にある最近の60冊ほどを調べたが、
鉄道ファン誌には上記のようなEF66に関するマニアックな事項を記載した
記事はなかった。
参考2 1990.5、6のEF66調査表
EF66のパンタグラフ装備状況を中心に調べた結果を表に示す。
期間中に見ることの出来なかったのは14、23、113号でした。
平日の調査パターンは早朝(5:35から6:30)と
夕方16:00頃:新川崎。
参考3 1977から1991.11迄のEF66調査表
EF66−1〜55、901のパンタグラフ装備状況を調べた結果を
付表1〜3に示す。